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過労死86人、過労自殺88人。厚労省「過労死等の労災補償状況」

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こんにちは。

今回は、厚労省が、6月26日に公表しました、令和元年度「過労死等の労災補償状況」についてお伝えし、現在のわが国の「過労死等」の状況を確認したいと思います。

 1. 過労死等とは?

「過労死等」とは、過労死等防止対策推進法第2条において、

業務における過重な負荷による脳血管疾患若しくは心臓疾患を原因とする死亡若しくは業務における強い心理的負荷による精神障害を原因とする自殺による死亡又はこれらの脳血管疾患若しくは心臓疾患若しくは精神障害をいう。

と定義されています。

 

要するに、次の2つの疾患を原因とする死亡とこれらの疾患です。

 

一般に、労災(業務災害)の認定においては、[a]業務遂行性と、[b]業務起因性の2つの要件を備えていることが必要です。

 [a]業務遂行性…労働者が労働契約に基づいて事業主の支配下にある状態

 [b]業務起因性…業務と傷病との間の因果関係

 

特に、業務起因性の判断が困難な場合がありますが、厚生労働省令(労働基準法施行規則別表第1の2)に列挙されている疾病等が発症した場合には、因果関係が立証されなくても、原則として業務起因性を推定することになっています。

 

しかし、過労死等に係る上記2つの疾患については、業務と疾病との相当因果関係の判断がさらに難しい場合があるため、それぞれ、別に認定基準(通達)が定められています。

  • 脳血管疾患及び虚血性心疾患等(負傷に起因するものを除く。)の認定基準
  • 心理的負荷による精神障害の認定基準

Youtuber, コンピューター, 映画制作者, 映画プロデューサー, 上から, 短編映画 

2.脳・心臓疾患の労災補償状況

 (1) 令和元年度の状況

 請求件数 936件  [うち死亡事案  253件]、決定件数*1 684件 [同 238件]支給決定件数*2 216件 [同 86件]、認定率*3 31.6% [同 36.1%]

 

請求件数の27%、支給決定件数のおよそ4割が死亡事案であり、後者はまさしく「過労死」になります。

過労死するまで仕事をしてはいけません。

過労死するまで仕事をさせてはいけません。

 

(2) 最近10年間の推移
ア.脳・心臓疾患による労災補償
脳・心臓疾患 請求件数 決定件数 支給決定
件数
認定率
2010 平成22 802 696 285 40.9%
2011 平成23 898 718 310 43.2%
2012 平成24 842 741 338 45.6%
2013 平成25 784 683 306 44.8%
2014 平成26 763 637 277 43.5%
2015 平成27 795 671 251 37.4%
2016 平成28 825 680 260 38.2%
2017 平成29 840 664 253 38.1%
2018 平成30 877 689 238 34.5%

請求件数は、2014年度を底に、最近は増加傾向にあり、2010年に比べて134件、率にして17%も増えています。

一方、支給決定件数は、2012年度を最高として、最近は減少傾向にあり、2010年に比べて69件、24%も減っています。

その結果、2019年度の認定率は、高い時に比べると10ポイント以上低くなっています。

イ.うち死亡事案の推移
脳・心臓疾患
(うち死亡)
請求件数 決定件数 支給決定
件数
認定率
2010 平成22 270 272 113 41.5%
2011 平成23 302 248 121 48.8%
2012 平成24 285 272 123 45.2%
2013 平成25 283 290 133 45.9%
2014 平成26 242 245 121 49.4%
2015 平成27 283 246 96 39.0%
2016 平成28 261 253 107 42.3%
2017 平成29 241 236 92 39.0%
2018 平成30 254 217 82 37.8%
2019 令和元 253 238 86 36.1%

請求件数横ばい傾向、支給決定件数認定率減少傾向にあります。

脳・心臓疾患による労災に占める死亡事案の割合は、請求件数ではおよそ3割前後で推移していて、最近数年間は減少傾向にあり、支給決定件数においては、およそ4割前後を占めています。

業界, 工芸品, 労働者, ガラス職人, ガラス吹き製法, 仕事 

 

3.精神障害による労災補償状況

 (1) 令和元年度の状況

請求件数 2,060件  [うち自殺(自殺未遂を含む。) 202件]、決定件数*4

1,586件  [同 185件]、支給決定件数*5 509件  [ 同 88件]、認定率*6  32.1%  [ 同 47.6%]

 

請求件数のおよそ1割支給決定件数の約17%が、未遂を含む自殺事案になります。

 

長時間労働パワハラ、セクハラも重なって、うつ状態となり自殺してしまった、電通高橋まつりさんの事件が思い起こされます。

同じような事案が毎年100件近く発生しています。

会社は、労働者を自殺に至るまで追い詰めないでください!

 (2) 最近10年間の推移
ア.精神障害による労災補償
精神障害 請求件数 決定件数 支給決定
件数
認定率
2010 平成22 1181 1061 308 29.0%
2011 平成23 1272 1074 325 30.3%
2012 平成24 1257 1217 475 39.0%
2013 平成25 1409 1193 436 36.5%
2014 平成26 1456 1307 497 38.0%
2015 平成27 1515 1306 472 36.1%
2016 平成28 1586 1355 498 36.8%
2017 平成29 1732 1545 506 32.8%
2018 平成30 1820 1461 465 31.8%
2019 令和元 2060 1586 509 32.1%

 請求件数は、右肩上がりの増加傾向にあり、2019年度は、2010年度に比べて879件、率にして74%も増えています。

支給決定件数も同様であり、2019年度は、2010年度に比べて201件、65%も増えています。

認定率は、年度によって違いますが、おおむね30%台で推移しています。

 

イ.うち自殺事案の推移
精神障害
(うち自殺)
請求件数 決定件数 支給決定
件数
認定率
2010 平成22 171 170 65 38.2%
2011 平成23 202 176 66 37.5%
2012 平成24 169 203 93 45.8%
2013 平成25 177 157 63 40.1%
2014 平成26 213 210 99 47.1%
2015 平成27 199 205 93 45.4%
2016 平成28 198 176 84 47.7%
2017 平成29 221 208 98 47.1%
2018 平成30 200 199 76 38.2%
2019 令和元 202 185 88 47.6%

こちらは、請求件数、支給決定件数、認定率ともに、年度によってバラツキがみられます。

請求件数は、200件前後、支給決定件数は100件に満たない程度というところになっています。

精神障害による労災に占める自殺事案の割合は、請求件数では低下傾向にあります。

 

 ダンプ トラック, マシン, 重い, 車両, 建設, 機器, 掘削機, 産業

 

4. まとめ

以上、脳・心臓疾患による労災認定(支給決定)は、減少傾向にあり、精神障害による労災認定増加傾向にあることが確認できました。

また、脳・心臓疾患においては請求の3割弱、支給決定のおよそ4割が死亡事案であり、精神障害による労災においては請求のおよそ1割、支給決定の2割弱が自殺(未遂を含む)事案でした。

2019年度の「過労死等」の死亡者、自殺者(未遂を含む)はあわせて174人です。

 

この脳・心臓疾患と精神障害を原因とする「過労死等」は、本来「ゼロ」であるべきもの、そして「ゼロ」にできるはずのものです。

事業者には、労働者の健康管理義務があります。

労働者の健康、命を犠牲にして、企業利益を追求するなど許されるものではありません。

 

政府も、過労死等防止対策推進法を制定、施行し、当該法律に基づき「過労死等の防止のための対策に関する大綱」を定め、厚労大臣を本部長とする「長時間労働削減推進本部」を設置し、「過労死等ゼロ」緊急対策*7として具体的な取り組みを行っています。

 

これらの対策は、掛け声だけではなく、現場において、厳格かつ的確に実施されることが必要です。

そして、過労死等の件数が着実に減少していくことがなにより重要です。

 

今回は、わが国の「過労死等」の状況について確認しました。

 Coronavirus, コロナ, Sars-Cov-2, ウイルス

今日も、拙い文章をお読みいただきありがとうございました。

(2020.08.07)

*1:決定件数は、当該年度内に業務上又は業務外の決定を行った件数で、当該年度以前に請求があったものを含む。

*2:支給決定件数は、決定件数のうち「業務上」と認定した件数である。

*3:認定率は、支給決定件数を決定件数で除した数である。

*4:上記1.に同じ。

*5:上記2.に同じ。

*6:上記3.に同じ。

*7:https://www.mhlw.go.jp/kinkyu/dl/151106-03.pdf

子どもの貧困率、ほんの少し改善。でも、OECDの中では、まだ高水準!

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1.子どもの貧困率

(1) 直近の数値

こんにちは。 

7月17日、厚労省から、2019年国民生活基礎調査の結果が公表されました(調査対象の期間は2018年)。*1

 

それによりますと、2018年時点での子どもの貧困率*2は、13.5%で、2015年の前回調査の13.9%から、0.4ポイント改善しました。

依然、子どもの7人に1人は、貧困状況にあります。

 

◆子どもの貧困率の推移は、次のとおりです。

2018年 13.5%

2015年 13.9%

2012年 16.3%

2009年 15.7%

2006年 14.2%

2003年 13.7%

2000年 14.4%

 

また、「子どもがいる現役世帯」(世帯主が 18 歳以上 65 歳未満で子どもがいる世帯)のうち「大人が一人」の世帯(母子世帯等)の貧困率は、48.1%で、2015 年から2.7ポイント改善しました。

依然、1人親世帯の約半数は、貧困線以下の所得で生活しており、厳しい状況にあります。

 

◆子どものいる現役世帯(大人が一人)の貧困率の推移は、次のとおりです。

2018年 48.1%

2015年 50.8%

2012年 54.6%

2009年 50.8%

2006年 54.3%

2003年 58.7%

2000年 58.2%

ママ, 娘, 家族, 赤ちゃん, 女の子, 女性, 日, 公園, 木, 自然 

(2) 国際比較

 OECD経済協力開発機構)のデータを見ますと、子どもの貧困率は、2015年の数値において、日本は、OECD37か国のうち、貧困率の低い方から23番目に位置しており、相対的に貧困率高水準です。

 

G7各国の数値は、次のようになっています。

フランス 11.2%

ドイツ  11.3%

カナダ  11.6%

英国   12.9%

日本   13.9%

イタリア 18.7%

米国   21.2%

 

他の国の「子どもの貧困率」もお示ししておきます。

フィンランド 3.6%デンマーク 3.7%ノルウェー 8.0%スウェーデン 9.3%、オーストラリア 13.3%、韓国 14.5%

遊園地, 観覧車, 公園, 楽しい, エンターテイメント, 乗る, 家族 

 

 2.子どもの貧困対策推進法

(1) 制定の経緯

 1990年代から、日本社会における「格差問題」に関心が寄せられるようになりました。

しかし、「貧困」についてはあまり語られることがなかったのですが、2006年に、OECDが「対日経済審査報告書」で、

 日本の相対的貧困率OECD諸国の中でアメリカについで第2位であると報告し、これは、大きな衝撃を持って受け止められ、マスメディアにおいても多く報じられた。*3

阿部彩氏は、2008年が「日本の社会政策学者の間で「子どもの貧困元年」と言われる年」であり、また、「この年に初めて、日本で子どもの貧困がマスメディアや政策論議の机上にのった、という意味で」「いわば、「子どもの貧困の発見の年」といってよい。」と述べています。*4

 

東日本大震災で、一時的に世の中の関心は、子どもの貧困から離れましたが、その後は国会でも論議されるようになって、議員提案の「子どもの貧困対策の推進に関する法律案」が、2013年に衆参両院において全会一致で可決、成立することとなりました。

子供, 子, 子ども, 少年, 女の子, 幸せ, 喜び, 小児期, 子育て 

(2) 法の目的

その後、一部改正された子どもの貧困対策の推進に関する法律(以下、「子どもの貧困対策推進法」または「法」と言います。)は、その目的を、第1条で、

この法律は、子どもの現在及び将来がその生まれ育った環境によって左右されることのないよう(中略)子どもの貧困対策を総合的に推進することを目的とする。

と規定しています。

 

私は、この第1条の「子どもの現在及び将来がその生まれ育った環境によって左右されることのない」ことは、人間社会の最も基本に置くべき価値観、思想のうちの一つであると考えます。

 (3) 法の構成

 子どもの貧困対策推進法は、子どもの貧困対策に関する大綱の策定、都道府県・市町村における子どもの貧困対策を推進するための計画の策定(努力義務)、教育・生活の安定・就労・経済的な支援のための必要な施策を講じること、子どもの貧困対策会議の設置について規定した全部でわずか16か条の短い法律です。

 

具体的な施策、事業を規定するものではありませんので、法ができたからと言って、子どもの貧困が改善されるわけでは全くありません。

 

しかし、法の冒頭に「子どもの現在及び将来がその生まれ育った環境によって左右されることのない」ことが掲げられたことには、素直にうれしく思います。

 洪水, 子供, サイクル, 通り, 自転車, 子ども, 子, 少年

 

3.貧困の連鎖を断ち切る

生活保護世帯における大学進学率等

子どもの貧困対策に関する大綱(以下、「大綱」)には、関係施策の実施状況や対策の効果等を検証・評価するため、子どもの貧困率を含め、30項目を超える「指標」が設定されています。

 

また、大綱の「子供の貧困対策に関する基本的な方針」のトップには、「貧困の連鎖を断ち切り、全ての子供が夢や希望を持てる社会を目指す。」ことが挙げられています。

 

生活保護世帯で育った子どもたちが、成人して、なお生活保護を受給するということは、貧困が連鎖するということになります。

したがって、生活保護世帯に属する子どもに関する、次の3つの指標が、いちばん最初に置かれています。

 

生活保護世帯に属する子どもの高等学校等進学率*5

 93.7%  [一般世帯 99.0% *6 ]

 

生活保護世帯に属する子どもの高等学校等中退率*7

 4.1% [一般世帯 1.4% *8 ]

 

生活保護世帯に属する子どもの大学等進学率*9 

 36.0% [一般世帯 76.1% *10 ]

 

これを見ますと、まだまだ、一般世帯(保護世帯という限定のない世帯)との差は大きいものがあります。

特に、③の大学等進学率は半分以下です。

一般的には、学歴と所得は比例していますので、保護世帯で育った子どもたちのうちには、成人した後の就職や所得の状況において、厳しい状況に遭遇するものも少なくないことが想像されます。

彼ら、彼女らの未来のために制度が充実すること、彼ら、彼女らが厳しい状況に臆することなく、力強く進んでいってくれることを切に願います。

芝張り, 公園, 子供, 芝生で横になっています。 

 

4.さいごに

(1) 大学・大学院までの教育費を完全無料に

 貧困の連鎖を断ち切るためには、生まれた家庭が裕福でも、貧しくても、親の経済状況には関係なく、同じように勉強できる、希望に応じて進学できることが重要です。

わが国においては、まだまだ法の目的を達するまでには遠い状況ですが、大学・大学院までの教育費を完全無料化するなど、思い切った施策が必要だと考えます。

 (2) 指標には目標数値を

大綱に、30項目を超える具体的な指標を掲げてあることは、たいへん良いことだと思います。

ただし、本来であれば、現況の数値のみではなく、標数も書き込むべきだと思います。

そうすることで、指標設定の目的である施策の実施状況や対策の効果等を検証・評価することができるようになるのではないかと考えます。

 

今回は、子どもの貧困率と子どもの貧困対策推進法について、お伝えしました。

 子供, スペル, マジック, 魔法の杖, ファンタジー, 雲

今日も、拙い文章をお読みいただきありがとうございました。

(2020.08.01)

*1:この調査自体は、毎年実施されていますが(2020年は中止)、「貧困」に関する調査は、3年ごとの大規模調査の時に実施されます。そして、2019年は大規模調査年でした。

*2:17歳以下の子ども全体に占める、貧困線(等価可処分所得の中央値の半分)に満たない17歳以下の子どもの割合をいう。

*3:阿部彩「子どもの貧困-日本の不公平を考える」(岩波新書。2008年)

*4:阿部彩「子どもの貧困Ⅱ-解決策を考える」(岩波新書。2014年)

*5:中学校卒業者総数のうち、高等学校、高等専門学校又は専修学校の高等課程の入学した者の数の占める割合

*6:文科省「平成30年度学校基本調査(確定値)の公表について」

*7:高等学校等及び高等専門学校の4月の在籍者総数で、その年の翌年3月までに中退した者の数を除したもの

厚生労働省

*8:文科省「平成30年度 児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果について」

*9:高等学校等の卒業者数のうち、大学、短期大学、専修学校(専門課程又は一般課程)又は各種学校への進学した者の割合(厚生労働省

*10:上記の脚注6に同じ。

日本は、権力格差指標が高くて、イノベーションが起きにくい!

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こんにちは。

山口周さんの「世界で最もイノベーティブな組織の作り方」光文社新書 2013年10月初版)を読んでいましたら、権力格差指標という、あまり聞きなれないワードが出てきました。

興味深く思いましたので、今回は、同書を引用しながら、この権力格差指標について、お伝えしたいと思います。

 

 1.権力格差指標

 (1) 大韓航空機事故

 1997年8月5日、グアム行き大韓航空801便は、グアム国際空港の1キロほど手前の台地に激突、墜落し、乗客乗員254名のうち228名が死亡するという事故を起こしました。

コックピット内の機長、副操縦士、及び航空機関士の3人による事故時の音声記録が残されています。

機長は、目視によって着陸しようとしましたが、天候のうえからは計器着陸の方が安全だと判断していたらしい副操縦士航空機関士は、「もっと雨が降ってきそうだな」「気象レーダーはとても有用」などと、そのことを窺わせる独り言のような発言はしているものの、直接、機長に対して、明確に計器着陸すべきだとは告げていません。

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この時期、大韓航空機は立て続けに重大事故を起こしています。

一連の事故について、事故調査委員会は、コックピットを包む「空気」に原因があることを指摘しました。(以上、同書P.54~P.68)

 (2) 権力格差指標

 この「空気」とは、「目上の人に対して、反論したり意見具申したりすることが難しい」ということです。

そして、それは「その人が所属する文化圏=国によって異なる」。

 

「目上の人に反論したり意見具申したりする」行動に対する心理的抵抗の度合いを、オランダの心理学者ヘールト・ホフステードは権力格差指標(PDI:Power Distance Index)と定義しました。

 

ホフステードは、権力の格差を「それぞれの国の制度や組織において、権力の弱い成員が、権力が不平等に分布している状態を予期し、受け入れている程度」としています。(同書P.71)

 

G7各国の権力格差指標は次のようになっています。

フランス 68

日本   54

イタリア 50

アメリカ 40

カナダ  39

ドイツ  35

イギリス 35

 

ちなみに、韓国の指標は60です。

この指標の数値が低い国・組織であるほど、上司に対する率直な意見具申ができやすいことになります。

そういう国・組織であれば、大韓航空機の事故も防ぐことができた可能性があるということです。

 

しかし、どの国も、この指標が「0」というところはありませんので、たとえ欧米の諸国においても、なかには権力主義的、官僚主義的で、上司に対する意見具申がしにくく、また、上司も部下の意見を聞こうとしない組織は、当然、あり得るわけです。

営業会議, 会議, ビジネス, オフィス, チーム, チームワーク, 人, 仕事, テーブル, 通信, 会社 

 

(3) 日本の場合、その他

 日本の点数は54で、欧米諸国よりも高くなっています。

ただし、他のアジア諸国に比べますと低い点数です。

どうでしょうか。

わが国において、また、それぞれが所属する組織において、上司に対して、率直に意見を言える雰囲気、「空気」はあるでしょうか。

 

「YES」とは言えないでしょう。

私が定年退職まで、その後も3年間、所属していた組織(地方自治体)でも、上司に対する意見具申、上司と部下との間での率直な意見交換というのは、少なかったというよりも、ほとんどなかったように思います。

 

しかし、人の生命がかかっている場面では、いくら何でも、上司をぶんなぐってでも、安全策をとるように言うとは思いますが……。

 

この本には紹介されていませんが、ネット上で確認できますので、他の国の権力格差指標も紹介しておきます。(次の「2.イノベーション指数」と関連しますので。)

スイス 34スウェーデン 31シンガポール 74フィンランド 33、オランダ 38デンマーク 18イスラエル 13、香港 68アイルランド 28ルクセンブルク 40アイスランド 30、中国 80、オーストラリア 38ニュージーランド 22オーストリア 11

https://www.hofstede-insights.com/country-comparison/から)

 電球, 光, アイデア, 電気, エネルギー, グロー, イノベーション, 思考

 

2.イノベーション指数

山口周氏のこの著作は、イノベーションがテーマですので、上記のように、権力格差指標の高い国では、イノベーションが起こりにくい状況にあるのではないか、という文脈になります。

 

そこで、山口氏は、フランスの経営大学院INSEADが、2012年に発表した国別イノベーション指数で、トップ5スイス、スウェーデンシンガポールフィンランド、イギリスであったことを紹介しながら、

これらの国々の権力格差指標が非常に低いのは単なる偶然ではないと筆者には思えるのです。両者のランキングの相関は、「組織内での自由闊達な意見のぶつかり合い」がイノベーションの促進にとって重要だということを示唆しているように思われます。(同書P.81)

と書いています。

 

現在、インターネットでは、このINSEADのほか、WIPO世界知的所有権機関)、コーネル大学等の共同で、グローバル・イノベーション・インデックス(GII)の2019年版の世界ランキングが公表されています。(カッコ内は前年の順位)

https://www.globalinnovationindex.org/gii-2019-report

1位  スイス(1)

2位  スウェーデン (3)

3位  アメリカ合衆国 (6)                                                

4位  オランダ (2)

5位  イギリス (4)

6位  フィンランド (7)

7位  デンマーク(8)

8位  シンガポール (5)

9位  ドイツ (9)

10位  イスラエル (11)

11位  韓国 (12)

12位  アイルランド (10)

13位  香港 (14)

14位  中国 (17)

15位  日本 (13)

16位  フランス (16)

17位  カナダ (18)

18位  ルクセンブルク (15)

19位  ノルウェー (19)

20位  アイスランド (23)

 

権力格差指標とイノベーション指数との相関は、いかがでしょうか。

ピッタリ、というわけにはいきませんが、「うーん、まあ、おおむね、そうかな…」という程度でしょうか。

上位は、確かに相関が強いように思われます。

Cpu, 技術, コンピュータ, 半導体, データ, Pcb, コンデンサー 

 

3.個人主義指標

ネットで公開されていますホフステードインサイト*1に、各国の文化的差異の指標としての個人主義(Individualism)指標があります。

 

これは、その国が個人主義的か、集団主義的かという指標になります。

指標の点数が高いほど、個人主義的とされます。

権力格差指標との関連が強いように思われますので、参考までに紹介しておきたいと思います。

 

G7の各国の個人主義指標は、次のようになっています。

アメリカ  91

イギリス  89

カナダ    80

イタリア  76

フランス  71

ドイツ    67

 日本  46

 

フランスを除き、権力格差指標と反比例しています。

つまり、上司に対して率直な意見具申をする国、上司の権力に拒否的な国ほど、個人主義的であり、その逆もまた真なり、という感じです。

フランスは、ちょっと特異ですね。

権力主義的な雰囲気もあり、また個人主義的でもあるというように……。

 

他の国の個人主義指標は、次のようになっています。

オーストラリア 90、、スウェーデン 71ノルウェー 69フィンランド 63、中国 20シンガポール 20、韓国 18。

 

これらを見ていると、欧米諸国とアジアとの文化の違いが顕著のように思われますが、ここでも、日本は、他のアジアの国よりも集団主義的傾向が弱いという評価になっています。

 

今回は、山口周氏の著作から、権力格差指標の高い国ほど、イノベーションは起きにくいのではないか、ということについてお伝えしました。

 時間の広場, ニューヨーク, ジャム

今日も、拙い文章をお読みいただきありがとうございました。

(2020.07.31)

 

*1:山口氏の本では、「ホフステードの4次元」として紹介されていますが(同書P.70~P.71)、ネットを見ますと、現在は「6次元」になっているようです。

年金財政とGPIFの役割について

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こんにちは。

前回は、GPIFの昨年度の運用実績についてお伝えしました。

今回は、年金財政におけるGPIFの役割について考えてみたいと思います。

 1.GPIFとはいったい何?

GPIFは、正式名称を年金積立金管理運用独立行政法人Government Pension Investment Fundと言います。

厚生年金保険料、国民年金保険料の一部を預かって(寄託金)、それを証券投資によって運用し、収益金を年金の給付にあてることで、年金財政に長期にわたって貢献することが役割です。

 (運用の実績は前回ブログを見てください。)

◇共済組合等

厚生年金の第2号被保険者(国家公務員)、第3号被保険者(地方公務員)、第4号被保険者(私立学校教職員)に係る保険料の積立金の運用は、GPIFではなく、それぞれの共済(国家公務員共済組合連合会地方公務員共済組合連合会日本私立学校振興・共済事業団)が行っています。

 貯金箱, 貯蓄, コイン, 現金, ペニーの銀行, 古道具, セラミック, 磁器

2.年金財政のしくみ

 (1) 2004年の年金法改正による180度の方針転換

年金制度は、年金法の2004年(平成16年)改正によって、給付と負担の考え方が大きく変わりました。

それまでは、年金の給付額に見合って保険料を設定していましたが、2004年改正によって、保険料の上限*1を決めて、その範囲内で給付を行うという180度の方針転換となりました。

 

(2) 財政検証と100年安心年金

2004年改正の中で、政府は、少なくとも5年ごとに年金制度に係る「財政の現況及び見通し」を作成しなければいけないこととされました。

これが、いわゆる財政検証です。

 

また、年金財政は、おおむね100年間にわたって年金財政の収支の均衡を図ることとされました(有限均衡方式)。

これが、当時よく言われた「100年安心年金」です。

 

この100年間を「財政均衡期間」といいます。

財政均衡期間の終了時点、つまり100年後に、必要な年金積立金(年金給付額の1年分程度)を保有することを目途としています。

ティー, レモン, 花, ユリ, 免疫システム, 防ぐ, 冬, 健康, ビタミン 

(3) 調整期間とマクロ経済スライド

 財政均衡期間の中で、年金財政の状況が厳しい場合には、年金給付額を調整することとされました。

 

この年金給付額を調整(つまりは額の抑制)する期間を「調整期間」と言い、2005(平成17)年度がその開始年度となりました。

年金給付額を調整するしくみが、いわゆる「マクロ経済スライド」です。

 

年金の給付額は、賃金物価の変動に応じて改定されるしくみですが、マクロ経済スライドが導入されている期間においては、それに加えて、[a]公的年金全体の被保険者数の増減、及び[b]平均余命の伸びも勘案されます。

この[a]に[b]を乗じたものがスライド調整率です。

 

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[a]は、年金受給者は年々増加していくのに、年金の支え手(年金保険料の支払者)である労働力人口が減少していくことへの対応です。

当初は、0.6%程度のマイナスが想定されていましたが、徐々にマイナス幅が縮小し、最近は、高齢者の就労人口が増加していることから、プラスになっています。

[b]は、マイナス3%に固定されています。

 愛, 老人, 中心部, 年金, 情熱, ビーチ, オールディーズ, シニア

3.年金財政におけるGPIFの役割

(1) 調整期間の終了時期?

GPIFによる年金積立金の運用が非常にうまくいけば、マクロ経済スライドが実施される調整期間も早く終わることになります。

運用がうまくいかなければ、調整期間はどんどん延長されます。

実際は、GPIFの運用成績とともに、経済成長率合計特殊出生率などの要因が関係します。

いつ調整期間を終了するかは、5年ごとの財政検証によりますが、当分は、マクロ経済スライドは続くと思っていたほうがよいでしょう。

(2) 当面は、運用収益を年金に活用 

また、当初は、運用益(収益)のみを年金財政に活用していき、一定期間後(おおむね50年後以降か?)においては、積立金原資を少しずつ取り崩していく計画になっています。

そして、財政均衡期間の終了時点では、年金給付額の1年分程度を残しておく予定です。

 GPIFの運用資産は、およそ150兆円、3つの共済の運用資産がおよそ20兆円で合計170兆円

一方、現在の年金給付額はおよそ55兆円ですから、現状では3年分程度の積立金があることになります。

 証券取引所, 利益, ブーム, 実業家, タブレット, コンピューター

 

4.基本ポートフォリオの見直し

GPIFのこれまでの収益累積額57.5兆円インカムゲイン含む)は、ちょうど年金給付額の1年分に相当する金額です。

また、2019年度の1年間の運用損失8.3兆円は、年金給付額の約15%(2か月分弱)に相当します。

 

GPIFは、運用目標(運用収益率=賃金上昇率+1.7%)、昨年の年金の財政検証、及びこれまでの運用実績から、今回、基本ポートフォリオ(資産構成割合)を、下のように見直しました。

 

f:id:tanoken65:20200713061637p:plain

 

なお、3つの共済も、GPIFと同じポートフォリオを採用しています。

茶色の卵, 朝食, 栄養, 食品, 卵, 新鮮な, 成分, 素朴な, 有機, 健康, バスケット 

 

5.GPIFの運用について

 (1) 積立金は、年金保険料。1円も無駄にできない。

GPIFは、世界中の主要な企業の株式に投資している世界最大の投資機関と言われます。

一部の自己運用を除けば、専門の運用機関に委託しています。

受託している運用機関は、プロ中のプロの集まりです。

 

GPIFのホームページには、受託運用機関ごとの運用資産額、直近5年、同3年、同1年の運用実績も公表されています。

2019年では、これらの運用手数料に319億円を支払っています。

 

GPIFが運用する資産の原資は、国民が納付した年金の保険料(掛金)です。

1円たりとも無駄にできるものではありません。

変動の大きい株式への投資に対して、批判的な意見があることも当然だと思います。

リーマンショック、今回のコロナ・ショックのように、大切な資産に損失を出すようなことがあればなおさらです。

 分析, お支払い, ビジネスマン, 会議, 銀行, 証券取引所, トレーディング フロア, Dollar

(2) 金庫に眠らせておくわけにもいかない。

しかし、だからと言って、国民が納付した保険料のうち給付に回らなかったものを、金利ゼロで金融機関に預けたり、政府の金庫にじっと眠らせておけばいいというものでもありません。

今は、物価もあまり上がっていませんが、日銀の目標のとおり、年率2%で物価が上がっていけば、どんどん国民の資産は目減りしていきます。

 

やはり、慎重に、安定的に、かつ効率的に長期運用するということにならざるを得ません。

 

(3) 赤字について

昨年の運用資産の赤字は、その時点での評価額が減ったもので、積立金そのもの(現金)が無くなってしまったわけではありません。

3月末以降、株式相場は上昇していますので、今時点では、評価損失額はかなり少なくなっていると思います。

NASDAQは、コロナ前の値を超えています。

 

ですから、運用損失に対して、過度に心配する必要はありません。

長期的な視点から見ていけばよいと思います。

 

ただ、だからと言って、短期的には損失を出しても構わないということでもありません。

市場の変動率を下回るような運用成績(収益率)は、やはり許されないと思います。

 

年金受給者の一人として、また国民の一人としては、可能な限り、損失を出さず、収益を上げるような運用を期待します。

証券取引所, 世界経済, ブーム, 経済, お支払い, パーセント, プラス

 

(4) 不祥事、スキャンダルは最悪

運用資産の巨大さを考えますと、運用における不適切事案、またGPIFの組織におけるスキャンダルを恐れます。

じつは、GPIFの理事長、理事をめぐって、スキャンダルが起きていて、今春、理事長が交替しています。

👇東洋経済オンライン

 https://toyokeizai.net/articles/-/315284

真相はわかりませんが、まったく年金積立金を運用する組織にあるまじきことです。

 

 (5) 国民との信頼関係

今回のスキャンダルは、世間的な話題とはなりませんでしたが、それはGPIFという存在が、一般の国民に知られていないからだと思います。

GPIFは、国民のお金(年金の保険料)を預かって管理運用するという重大な役割を担っているところですので、国民からの信頼が重要です。

GPIFは、国民との信頼関係を築くことに努力すべきではないでしょうか。

 

2回にまたって、GPIFについてお伝えしました。

老夫婦, 座っている, 祖父母, ベンチ, キス, ハグ, 愛, 高齢者, 幸せ 

今日も、拙い文章をお読みいただきありがとうございました。

(2020.07.25)

 

 

 

*1:国民年金保険料:16,900円(2019年度から産前産後の保険料免除分をプラスして17,000円)×保険料改定率に設定。厚生年金保険料:料率の上限を18.3%に設定

【GPIFの2019年度資産運用】第4四半期には18兆円、年度では8兆円の赤字!

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こんにちは。

7月初めに、国民の厚生年金と国民年金の保険料を預かって、運用している年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)2019年度の運用実績が、8兆2831億円赤字であったことが報道されました。

これは、リーマン・ショックの時の2008年度9兆3481億円に次いて、過去2番目に大きい赤字額になります。

今回は、GPIFの運用実績についてお伝えしたいと思います。

 1.2019年度の運用実績

GPIFのホームページの「2019年度業務概況書」に2019年度の運用実績が、資産ごと、四半期ごとに出ていますので、それを見てみます。

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この結果、GPIFの運用資産は、下の表2のようになりました。

 

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年度初め159兆円あったのが、年度末には150兆円に減っています。

8.3兆円の赤字額は、年度当初の運用資産のおよそ5%になります。

これには3.2兆円インカムゲイン(利子・配当収入)を含みますので、本当のところ、2019年度のGPIFの運用における赤字額(損失額)は11.5兆円になると思います。

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(a)第4四半期:国内株式の運用

表1を見ますと、コロナ危機による世界的な株価暴落の影響をまともに受けた第4四半期(1-3月)の17兆7千億円大幅赤字が目立ちます。

特に損失額の大きい第4四半期の株式についてみてみます。

  

◆国内株式の資産の変動

2019年3月末の資産総額約159.2兆円と、国内株式の資産構成割合23.55%(2018年度業務概況書)から、年度当初の国内株式の資産額37.5兆円と推計。

これに、表1の第1四半期から第3四半期までの運用損益の合計額4.7兆円を単純に足して、第4四半期初の国内株式の運用資産の額は42兆円程度と推計。

この期の損失額7.4兆円、これは資産額の約18%に相当します。

(2019年度業務概況書:この期における国内株式の収益率-17.63%

 

◆この間の日経平均株価の変動状況

12月末の終値23,656円、3月末の終値18,917円。下落率20%

 

◇結論

第4四半期における国内株式に係るGPIFの運用成績は、市場よりややプラス、あるいは、収益に潜在的に含まれるインカムゲインを考慮すれば、市場と同等であったと言えるのではないかと思います。

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 (b)第4四半期:外国株式

◆外国株式の資産の変動

2019年3月末の資産総額約159.2兆円と、外国株式の資産構成割合25.53%(2018年度業務概況書)から、年度当初の外国株式の資産額40.6兆円と推計。

これに、表1の第1四半期から第3四半期までの運用損益の合計額3.7兆円を単純に足して、第4四半期初の外国株式の運用資産の額は44兆円程度と推計。

この期の損失額10.2兆円、これは資産額の約23%に相当します。

(2019年度業務概況書:この期における外国株式の収益率-21.88%

 

◆この間のNYダウ平均株価の変動状況

12月末の終値28,538ドル、3月末の終値21,949ドル。下落率23.1%

 

◆この間のNASDAQ総合指数の変動状況

12月末の終値8972.6、3月末の終値7700.1。下落率14.2%

 

◇結論

単純にみれば、第4四半期におけるGPIFの外国株式の運用成績は、NYダウの動きとほぼ同等NASDAQからは大きく下回ったことになります。

 

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もちろん、GPIFは、「ユニバーサル・オーナー」として、主要な海外企業の株式を幅広く保有していますので、NYダウNASDAQとだけ比較して云々するということはできません。

ただ、GPIFのホームページで公表されている保有全銘柄(今年3月末)を見ますと、およそ2700銘柄の外国株式のうち、時価総額別順位の第1位マイクロソフト時価1兆1576億円)、第2位アップル(同1兆791億円)、第3位アマゾン(同8263億円)、以下フェイスブックアルファベット(グーグル)など、上位はほとんどNASDAQ銘柄であるところからすると、この間のGPIFの運用は、市場をかなり下回る成績であったということができるのではないかと思います。

 

参考(2019年度中の変動)

◆GPIFの収益率(業務概況書)

国内株式 - 9.71%

外国株式 -13.08%

◆各指標

日経平均株価変動率 -10.8%

TOPIX    〃  -11.8%

NYダウ   〃  -15.3%

NASDAQ  〃   -0.4%

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2.これまでの実績(類型収益額) 

2019年度の運用実績を見ましたが、これまでの状況はどうであったか、確認しておきたいと思います。

 

GPIFの運用における累積収益額(2001年度~2019年度)+57兆5,377億円

 

2008年度、2019年度のように、大きく収益額が赤字になってしまう年度もありますが、約20年で57兆円を稼いでいます。

また、このうち約65%の37兆1,412億円インカムゲインによるものです。

 

今回は、GPIFの2019年度の運用実績についてお伝えしました。

次回は、GPIFとはいったい何者? 年金財政におけるGPIFの役割ということについて確認したいと思います。

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今日も、拙い文章をお読みいただきありがとうございました。

(2020.07.24)

社労士試験まで、あと、ちょうど1か月!

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こんにちは。

今年の社労士試験まで、あと1か月になりました。

受験者の皆さん、よくここまで勉強を続けてこられました。

もう少しです。

体調管理に留意されて、もうひと踏ん張りしてください。

もうゴールテープは目の前です。

 

昨年、私が受験したときのことを思い出しながら、受験者の皆さんにエールを送りたいと思います。

1. ピークを試験日にもってくる。

このブログのカテゴリー「社労士試験」の中でも、何度も紹介しました、私が、受験勉強期間中、その都度、何度も目を通した五十嵐明彦著「社労士試験に最速で受かるための合格思考 勉強しない、だから受かる」税務経理協会)に、「試験日にピークを持ってくる」というところがあります。

 

体力も、気力も、学習の進み具合も、最高の状態で試験日を迎える。

これは、言われなくてもわかっていることですが、実際には、なかなか難しいかもしれません。

体調管理を第一にして、できるだけ試験日がピークになるように工夫してください。

 

私の場合は、このブログの合格体験記にも書きましたが、ピークが試験日よりも1か月早く来てしまった感じでした。

7月に受けた2つの模擬試験の結果は、いずれも選択式、択一式とも「A」評価でした。

この時期がピークだったように思います。

 結果的に、「ピーキングを間違えた」ようです。

 

私は、6月いっぱいで、定年後の仕事を辞め、7月からは受験勉強に専念したわけですが、8月に入ると、疲れとか、勉強に飽いたような感じが出てきました。

研究, 宿題, 教育, 勉強, 学校, 本, 学生, 学習, 学ぶ, デスク 

多くの皆さんは、仕事をしながらの受験で、勉強時間が足りないことが悩みの種だと思いますが、時間をやり繰りして勉強することで、生活のメリハリもあって、かえって集中できるなど、良い面もあるようです。

 

私は、1か月早く来てしまったピークをなんとか維持することに努めましたが、ちょっとしんどかったです。

 

これからは、健康面の管理が何といっても一番ですが、仕事、家庭での諸事についても、できる範囲でスケジューリングを工夫して、8月中はできるだけ、勉強に集中できる環境をつくってください。

ご家族の協力が大切です。

 読み取り, 研究, 読書, 勉強

2.最後の1か月でしたこと

まだ手元にある、毎日、勉強した事項をメモした「勉強日誌」から、最後の1か月間に私が行ったことを振り返ってみます。

  1.  受けた模試の振り返り(特に、全受験者の正答率が高い問題で、自分が正答できなかった問題)
  2. これまで何度も繰り返しやった問題集(私の場合は、クレアールの通信でしたので、「答練マスター」)を、全部ではなくて、誤答したことのある問題のみをもう一度確認する。
  3. コンパクトにまとめてあるテキスト(クレアール⇒「コンプリーションノート」「セルフチェックノート」)で、知識の定着度を確認する。
  4. 白書対策(WEB視聴) 数字の暗記なので直前にやったほうが効果的。
  5. 横断整理(目的条項など) 

私は、事前に、8月中の毎日やるべきことの計画と、実際に実施したことをメモして、管理しました。

やはり、勉強の状況の「見える化」は、いつも重要だし、効果的だと思います。

船旅, キャプテン, 船員, ラダー, 航海日誌, 肖像画, シンボル

 3.やってはいけないこと

 受験本や関連するブログなどにも、「この時期にやってはいけないことは、新しいテキストや問題集に手を出すこと」と書いてあると思いますが、私も同感です。

 

もう、これまで、あなたは十分学習を積んできていますので、これ以上、新しいテキストとか、問題集をやる必要はありません。

これまで取り組んできた問題集で、何度も間違ってしまうところをもう一度、確認しておくことの方が得点につながります。

 

いまさら、新しいことに手を出す時間的余裕はありません。

資格学校等の「直前講座」なども受けないでよいと思います。

 

100点満点を取る必要はありません。

確実に70点取ることに集中してください。

タンポポ, 牧草地, タンポポの草原, スプリング, 黄色, 夏, 花, 自然

4.さいごに、模擬試験で、C評価、D評価だった方へ

あきらめる必要はありません。

社労士試験は、要するに暗記試験です。

この1か月間で、グンと伸びることがあります。

 

私は、一昨年は、択一式の得点が2点足りず、不合格でした。

でも、その時の模擬試験の結果は、C評価とD評価でした。

模擬試験のあとの本試験までに、合格ラインに近づいたということです。

 

長い距離を走るマラソンでも、グランドに入ってからの、ゴール前のスピード競争で順位がひっくり返ることがよくありますから、前を行くランナーを、あなたが最後に追い抜くイメージで取り組んでください。

 

焦る必要はありません。

いつもと同じような気持ち(平常心)で、地味な勉強を、これまでやってきたように、コツコツと、ひたすら繰り返すこと。

 

皆さんのご健闘を祈ります。

 読み取り, 本, 公園, 学生, 小児期, 子供, 少年, 子ども, かわいい

今日も、拙い文章をお読みいただきありがとうございました。

(2020.07.23)

【少子化対策】出生率は4年連続して低下、男性の育休取得率は目標に遠い状況  

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こんにちは。

今回は、少子化の象徴的な指標である合計特殊出生率と、少子化対策の進捗状況を示す男性の育児休暇取得率について、お伝えしたいと思います。

 

1. 我が国の合計特殊出生率

(1) 最近の合計特殊出生率の推移

6月5日、厚労省から人口動態統計が公表されました。

それによりますと、2019年の合計特殊出生率は、1.36と、昨年より0.06ポイント低下し、4年連続の低下となりました。

最近10年間の推移は下表のとおりです。

最近10年間の特殊合計出生率の推移
2010年 1.39
2011年 1.39
2012年 1.41
2013年 1.43
2014年 1.42
2015年 1.45
2016年 1.44
2017年 1.43
2018年 1.42
2019年 1.36

わが国の合計特殊出生率は、1970年代前半まで2.0を超えていましたが、徐々に低くなって、2005年1.26と過去最低の数値を示しました。

その後、上昇傾向にありましたが、2015年1.45になって以降、ふたたび低下しています。

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(2) 政府の目標

5月29日に閣議決定された少子化社会対策大綱(第4次)において、「少子化対策における基本的な目標」として「希望出生率1.8」と、従来の目標を維持しました。

1980年頃合計特殊出生率1.8前後でしたから、わが国は、およそ40年前出生率を回復するのが目標ということになります。

 

◆「希望出生率」って何?

ところで、政府は、「希望出生率」などと変な名称を付けて目標値を示していますが、この「希望出生率」の出所は、まち・ひと・しごと創生長期ビジョン (令和元年改訂版)にあります。

そこには、

18~34 歳の独身者は、男女ともに約9割は「いずれ結婚するつもり」と回答しており、また、結婚した場合の希望子ども数は男性1.91人、女性2.02人となっている。さらに、夫婦の予定子ども数は2.01人となっている。こうした希望等が叶うとした場合に想定される出生率を「国民希望出生率」として、一定の仮定に基づく計算を行えばおおむね 1.8 程度となる

と記載してあります。

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2.合計特殊出生率の国際比較

それでは、他国の出生率の状況はどうなっているのか見てみます。 

フランス 1.88
スウェーデン 1.76
オーストラリア 1.74
デンマーク 1.73
米国 1.73
英国 1.68
ドイツ 1.57
カナダ 1.50
イタリア 1.29
韓国 0.98
中国 1.69
タイ 1.53
インドネシア 2.31
GLOBAL NOTE 2018年

子育て政策で目立った成果を上げていると評価されてきたフランスは、さすがの数値を示していますが、それでも最近は、出生率が低下しているようです。

一方、ドイツでは上昇傾向のようです。

6月6日付の日経新聞の記事には、

ドイツは父親が積極的に育児に参加している。18年は、1.57と0.19ポイント上昇した。独政府は13年から1歳以上のすべての子どもに対して保育を受ける権利を保障した。/父親の育休取得率は19年時点で35.8%になった。

とありました。

男性の育児休業取得率は、子どもを産み育てやすい社会づくりにプラスの効果があることを示唆しています。

そこで、次に男性の育休取得率について確認したいと思います。

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3.男性の育休取得率

(1) 政府の目標

政府は、男性の育児休業取得率を2020年までに13%とする目標を掲げています。(内閣府男女共同参画局のホームページ)

(2) 育休取得率の推移

それでは、実績値はどうなっているでしょうか。

厚労省雇用均等基本調査で確認してみます。

男性の育休業種得率の推移
2009年 1.72
2010年 1.38
2011年 2.63
2012年 1.89
2013年 2.03
2014年 2.30
2015年 2.65
2016年 3.16
2017年 5.14
2018年 6.16
※岩手、宮城、福島を除く。

最近、上昇傾向にあることは大変喜ばしいことですが、目標の「2020年までに13%」の達成は、ちょっと難しいのではないでしょうか。

人, 父, 男, 読書, 本, 赤ちゃん, 女の子, 子ども, 子, 家族
(3) 男性の育児休業期間は、たった5日間?

政府も、育児休業期間中の労使双方の社会保険料負担をなくしたり、子どもが保育園に入所できない場合には、子が2歳になるまで育児休業を取得できるようにするなど、いろいろ対策を講じてきていますが、なかなか目立った成果は上がっていないというのが現状です。

また、厚生労働省職業生活両立課資料「男性の育児休業の取得状況と取得促進のための取組について」(令和元年7月3日)によりますと、

育児休業の取得期間は、女性は9割近くが6か月以上となっている一方、男性は、5日未満 が56.9%、8割以上が1か月未満となっている。

とのことで、男性の育児休業に関しては、取得率の低さとともに、取得した休業期間などの課題もあるようです。

取得率が上昇しても、休業した期間が5日未満であれば、育児に対する父親の貢献の度合いははなはだ心もとない限りです。

うがった見方をすれば、育休取得が、育児そのものよりも、対外的に育休取得率を上げることが目的になっていはしないかと思ってしまいます。

父, 娘, ビーチ, 家族, パパ, 日当たりの良い, 休暇, 休日, 海

(4) 育児休業給付金の給付率アップ?

2月9日付日経新聞(電子版)は、男性の育児休業取得を促進するために、

政府は育児休業給付金の支給水準を引き上げる検討に入った。賃金の最大67%の給付率を80%まで引き上げる案が現段階で浮上している。/

3月末までに策定を目指す「少子化社会対策大綱」に、給付率引き上げを盛り込む方向で検討している。

と、報じました。

しかし、少子化社会対策大綱には、「育児休業を取得しやすくする。」「男性の育児休業取得や育児参画を促進するための取組を総合的に推進する。」などの記載はありますが、「育児休業給付金」の文言はありません。

日経新聞の記事が危惧していたように、財源問題のために大綱の表現が後退したのかもしれません。

今後の状況を観察する必要があるようです。

 

今回は、わが国の合計特殊出生率男性の育児休業取得の状況についてお伝えしました。

家族, 夏, アウトドア, 幸福

今日も、拙い文章をお読みいただきありがとうございました。

(2020.07.18)