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【障がい者と雇用保険】②障がい者は雇用保険加入期間が6か月以上あれば、基本手当の受給資格がある、というのは必ずしも正しくありません。

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 こんにちは。

障がい者の視点から雇用保険制度を見てみるシリーズの2回目です。

障がい者は、障害者ではない者(以下「一般の人」と言います。)よりも有利な取り扱いとされる場合があります。

前回は、基本手当所定給付日数についてお伝えしました。

今回は、そもそも基本手当を受けることができる要件について、法的根拠を尋ねながらお伝えしたいと思います。

基本手当の受給要件

インターネットで、障がい者雇用保険の適用について見ますと、障がい者が会社等に勤めて6か月以上の雇用保険被保険者期間(給料から雇用保険料が天引きされていた期間)があれば、基本手当(失業したときの一般的な手当)をもらえると書いてあるブログ等が多くあります。

これは、障がい者を含む就職困難者の場合の基本手当の所定給付日数が下記のように記載されているために、「1年未満」でもいいのだ、という解釈かもしれません。

〇就職困難者(障がい者を含む)の所定給付日数

 算定基礎期間 1年未満 65歳未満 150日

 算定基礎期間 1年以上 45歳未満 300日、45歳以上65歳未満 360日

 ※算定基礎期間:基本手当の対象となる雇用保険加入期間(10年勤務していた会社等を辞めたなら、その10年。受給資格を見る被保険者期間とは異なる。)

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受給資格の原則と例外

基本手当の受給資格については、雇用保険法第13条第1項に、離職日(会社等を辞めた日)以前2年間に雇用保険被保険者期間が12か月以上ある場合に基本手当を支給する、と規定されていて、これが原則です。

同条第2項に、特定理由離職者特定受給資格者は、離職日以前1年間に被保険者期間が6か月以上あれば基本手当を支給するとの例外規定があります。

 

条文上は、受給資格において、障がい者、あるいは就職困難者に対する例外規定はどこにもありません

したがって、障がい者は6か月以上被保険者期間があれば基本手当の受給資格がある、と直接的に言うことはできません。

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受給資格の例外は特定受給資格者と特定理由離職者のみ

6か月以上で受給資格のある例外は、あくまでも雇用保険法第13条第2項にある、特定理由離職者特定受給資格者に限られます。

ハローワークが求職者に対する説明会のために渡している「雇用保険の失業等給付受給資格者のしおり」には、就職困難者の所定給付日数の表の下に、「「1年未満」欄は、倒産、解雇、雇止め、その他やむを得ない理由により離職された方のみに適用されます」という趣旨の添え書きがあります。

 

特定受給資格者については、雇用保険法第23条第2項に規定がありますが、会社等の倒産、解雇等による離職(失業)した人のことですから、障害者とは直接の関係はありません。

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特定理由離職者とは

それでは、特定理由離職者とはどういう人のことなのか。

雇用保険法第13条第3項に、

期間の定めのある労働契約の期間が満了し、かつ、当該労働契約の更新がないことその他のやむを得ない理由により離職したものとして厚生労働省令で定める者

と規定されています。

要するに「雇止め」とその他の理由ということですが、「その他の理由」について、厚生労働省令、ここでは雇用保険法施行規則を見なければなりません。

雇用保険法施行規則第19条の2には、

(1) 期間の定めのある労働契約の期間が満了し、かつ、当該労働契約の更新がないこと(その者が当該更新を希望したにもかかわらず、当該更新についての合意が成立するに至らなかつた場合に限る。) 

(2) 法第33条第1項の正当な理由

 とあります。

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正当な理由のある自己都合離職者

上記の(1)は雇止めのことですが、(2)について、こんどは雇用保険法に戻らなければなりません。

ところが、雇用保険法第33条第1項は、正当な理由がなくて自己都合退職した場合は、1か月以上3か月以内の期間(運用として3か月になっています)、基本手当を支給しないという給付制限の規定で、正当の理由の定義はありません。

しかし、同条第2項

受給資格者が前項の場合に該当するかどうかの認定は、公共職業安定所長が厚生労働大臣の定める基準に従ってするものとする

という規定がありますので、こんどは「厚生労働大臣の定める基準」を見なければいけなくなりました。

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厚労大臣基準:雇用保険に関する業務取扱要領

なかなか終点にたどり着きません。

法規(法、政令、省令、通達)であれば、厚労省のホームページ(法令等データベース)から検索してみることができるのですが、大臣の定める基準についてはどこをどう見ればよいかわかりません。

でも、ご安心ください。

雇用保険については、厚生労働省職業安定局雇用保険課作成の「雇用保険に関する業務取扱要領」というものがネット上で公開されています。

これが上に言う「大臣の定める基準」であるとは特定できませんが、おそらく間違いないものと思います。

この「雇用保険に関する業務取扱要領」(以下「取扱要領」と言います。)は大部のものであり、ハローワークの職員たちもこれを見て、日ごろの業務を行っているのではないかと推察します。

もしそうであるならば、事前にこれを読んでおけば、ハローワークの職員と同じ程度の知識を得ることができることになります。

心身の障害によって退職した場合

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問題は特定理由離職者に障がい者が該当するかどうか、ということです。

取扱要領の一般被保険者の求職者給付の第4-1に、「50305-2 (5-2) 特定理由離職者の範囲」があります。

 そこに、「ロ 法第 33 条の正当な理由のある自己都合退職者」として、

(い)体力の不足  (ろ)心身の障害  (は)疾病  (に)負傷  (ほ)視力の減退  (へ)聴力の減退  (と)触覚の減退等に よって退職した場合

と記載されています。

やっと、「障害」という文言にたどり着きました。

障がい者(手帳所持者と精神の3疾患の人)は、この規定を根拠として、正当な理由のある自己都合退職者として特定理由離職者とされて、受給資格の特例(離職日前1年間に6か月以上の被保険者期間があれば受給資格がある)に該当するか、といえば、必ずしもそうとは限りません。

特定理由離職者かどうかは、個々の事情によって判断

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取扱要領の上の記載に続いて、

如何なる程度の身体的条件が正当な退職の理由となり得るかは具体的事情(被保険者の身体的条件とその者の就いていた業務又はその者が新たに就くことを命ぜられた業務との相互の関連等)によって個々に決定される。

と記載されています。

よくわかりませんので、ハローワークに電話して尋ねてみました。

審査担当の職員によりますと、離職の理由が、心身の障害によるものであれば特定理由離職者として特例該当ですが、そうではない場合は特定理由離職とはみなされないこともあり得るとのことでした。

「ただ会社に行きたくなくなった」とか「仕事がイヤになった」とかの理由で離職した場合などは、特定理由離職者とはみなされない可能性があります。

離職した理由について、ハローワークの職員が一人ひとりから、具体的に離職の理由を聞いたうえで判断するということです。

そして、障がいのために仕事が困難になったことを確認するために、医師の証明書の提出を求めることが多いとのことでした。

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障がい者だから6か月でよい」は正しくない。

現実的には、特定理由離職者と認められる場合が多いようですが、単純に「障がい者だから6か月以上被保険者期間があれば基本手当をもらえる」というのは、必ずしも正しくないことになりますので、注意が必要です。

 

上記、雇用保険法第33条第2項に

受給資格者が前項の場合に該当するかどうかの認定は、公共職業安定所長が厚生労働大臣の定める基準に従ってするものとする。

とありますように、最終決定(認定)は職安所長(つまりは担当の職員)の判断に任されています。

離職の理由が、正当な理由によると認められれば6か月以上でOK(基本手当をもらえる資格がある)ですし、認められない時は一般の人と同じく離職日前2年間に12か月以上の被保険者期間がないと基本手当はもらえないということになります。

山の麓へ続く道

 

今日は、障がい者の場合は6か月以上雇用保険の被保険者期間があれば、雇用保険の基本手当をもらえるというのは、必ずしも正しくないということをお伝えしました。

前回に続き、法規の条文を追っかけての面倒くさい記述になりましたが、大事なところですのでお伝えしました。
  
今日も拙い文章をお読みいただきありがとうございました。
  (209.12.26)

 

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