こんにちは。
今回は、定年退職者が社労士試験を受けることについて考えてみたいと思います。
- 合格者の約12人に1人は60歳以上
- 後半5年間は合格率が高くなっている。
- 定年退職者の有利な点
- 他の資格試験での合格率は?
- 定年退職者はおいしいお客様??
- 資格取得は収入確保のため??
- 資格取得の目的は?
- 社労士を目指す理由
- 年金は老齢だけではない!
- まだまだ広報、啓発が必要
合格者の約12人に1人は60歳以上
厚労省のホームページで、過去10年間の社労士試験結果👇の状況が公表されています。
https://www.mhlw.go.jp/content/11202000/000564006.pdf
その中の合格者の年齢別構成を見ますと、今年の合格者2,525人のうち60歳以上の割合は8.4%になっています。
つまり、合格者の約12人に1人は60歳以上であり、中高年齢者の占める割合が結構高くなっています。
[過去10年の推移]
◆社労士試験合格者に占める60歳以上の割合
H22:5.8%
H23:6.8%
H24:5.6%
H25:5.7%
H26:6.7%
H27:9.0%
H28:8.4%
H29:8.5%
H30:9.3%
H31:8.4%

後半5年間は合格率が高くなっている。
この数字を見ると、全体として右肩上がりとも言えますし、あるいは、10年間のちょうど半分ずつ、前半5年間と後半5年間とで異なるレンジになっているとも言えます。
H27年に、前年の6.7%からポンと9.0%に、2.3ポイントも上昇していることが目立ちますが、このH27年は、合格率が2.6%と過去最低になったときです。
そのことと60歳以上の合格率の上昇との関連はわかりませんが、その後の合格率も高いレンジを維持しています。
後半(直近)の5年間では、昨年の9.3%が最高値として、8.4%~9.3%のレンジで動いています。
さて、来年は?
もしかしたら、さらに上のレンジの10%超、合格者の10人に1人が60歳以上ということになるかもしれません。
(厚労省のホームページでは、合格者の年齢別構成のみが公表されていて、受験申込者と受験者の年齢別構成のデータは公表されていません。性別もそうですが、これらのデータがクロスを含めて公表されれば、定年退職者や中高年齢者の動向がもう少しわかるのではないかと思います。)
定年退職者の有利な点
以前のブログ👇に書きましたように、社労士試験において、定年退職者には、若い受験者にはない有利な点(時間的・精神的な余裕、実務の経験、自分の問題という切実さ)がありますので、資格試験にチャレンジし合格する人も増えているのでしょう。
他の資格試験での合格率は?
ちなみに、他の資格試験合格者の60歳以上の割合を確認しようとしましたが、例えば、税理士試験合格者については、国税庁のホームページに、過去5年分の合格者の年齢別統計はあるのですが、その区分が「41歳以上」になっています。
その数値は、H26年度の16.4%からH30年度には23.9%になっていて、中高年齢者の割合が増加していることが推測されますが、「60歳以上」についてはわかりません。
また、司法書士試験合格者については、法務省のホームページに、「生年別」数値はありますが、年齢別数値はありません。
「生年別」から推測するに、60歳以上の割合は、社労士よりも随分低いものと思われます。
定年退職者はおいしいお客様??
「定年後の資格」などのキーワードで検索すると、多くのホームページやブログがヒットします。
なかでも社労士資格は人気の職種のようです。
社労士に関する資格学校の宣伝も盛りだくさんです。
どうしてここまで「定年後の資格」をテーマとする記事や宣言広告が多いのでしょうか。
それは、もちろん「需要」があるからでしょう。
「時間はある」「多少の金はある」この層を事業者が放っておくわけがありません。
何とか「その気」にさせて、「どうぞわが社の講座を」という展開になるのは自然な流れとも言えます。
資格取得は収入確保のため??
定年後の資格取得には、それを活かした仕事をして、幾許かの収入を得たいということがあると思います。
私も、いくらかはそうです。
年金は支給されているものの、それだけでは生活資金に不足が生じる、今の手元資金はできるだけ取り崩したくない、と考えています。
また、これまで組織の中で仕事をしてきて、組織の意思と自分の意思が違うことによるストレスを感じることが多くありましたので、このあたりで組織から離れてみたい、自分だけの意思で自由に仕事がしたいという思いもあります。
資格取得の目的は?
収入は資格取得から生じる果実ですけど、資格取得そのものの目的とは言えません。
組織から離れたいということも、資格取得とは直接の関係がありません。
やはり、資格を取得するには、その資格でなければならない理由、その資格を取ってやりたいと思っていることがなければいけないのではないでしょうか。
資格取得は目的ではなく手段のはずです。
目的に対する思いがなければ、長い期間の勉強のモチベーションも維持できないのではないでしょうか。
社労士を目指す理由
私が社労士を目指しているのは、年金はじめ制度を必要としている人たちに、必ずしも制度情報が届いていないケースが散見されますので、自分が制度情報と人々をつなぐ役割を担いたいとの思いからです。
法制度は、人々がその内容を知っていることが建前になっています。
しかし、一般の人は制度について知らないことが多くあります。
知っていることの方が少ないというのが現実でしょう。
年金は老齢だけではない!
例えば、年金についてはどうでしょうか。
年金は、老齢になってからだけのものではありません。
障がい者になったときや会社に勤務していて死亡したときなどにも、年金は支給される場合があります。
障がい、死亡によって、本人や家族(遺族)の生活が困窮しないためにも年金は有益な制度です。
しかし、一般には「年金は高齢になってからのもの」という思い込みがあるのではないでしょうか。
年金は、老齢だけではなく、障がい、死亡に対しても支給されるという基本中の基本の事項でさえ周知が進んでいるとは言えないように思います。
まだまだ広報、啓発が必要
もちろん、行政及び関係機関でも、広報、啓発の重要性を認識し、さまざまな取り組みを行っていますが、まだ十分ではありません。
社労士会、全国連合会のほか、一人の社労士としても活動の余地は広いのではないかと考えています。
今回は、社労士試験合格者の中に占める中高年齢者(60歳以上)の割合が高くなっていることと、その資格を取得しようとする目的が大切ではないかということをお伝えしました。
後者については、これからも私自身の問題として考えていきたいと思います。
今日も、拙い文章をお読みいただきありがとうございました。
(2019.12.21)(2020.06.18 一部修正)