今日は、私が、ファイナンシャルプランナーの1級FP技能士を取得したときの口述試験の様子についてお伝えしたいと思います。
1.当日の様子
これまで受けてきた資格試験は、筆記試験(ほとんどマークシート方式)のみでした。
しかし、今回の金融財政事情研究会(金財)の試験は、筆記試験ではなく面接で、与えられた設例について、審査委員の質問に口頭で答えるという口頭試問方式です。
私は、これまで経験したことがありません。
ただ、合格率が80%前後あるということから、きちんと準備をすれば合格するはずと考え、未経験の口述試験(口頭試問)に臨みました。
試験の手順
試験は、次のような手順で実施されました。
- 決められた集合時間までに、指定された集合場所に集合する。
- 待合室で説明を聞く。(私の場合は、1つの部屋に受検者10数人程だったと思います。)
- 2人が呼ばれて、同じ部屋の後方に設けてあるスペース(簡易なパーテーションで隣り合って2つ)に移動する。
- そこで、1人には設問(PartⅠ)が、もう1人には別の設例(PartⅡ)が書かれたペーパーが渡されるので、それを読み、必要なメモを取りながら、面接での口述の準備をする。(約15分間)
- 約15分後に呼ばれて、設例ペーパーを持って、1人ずつ、別々の面接室に移動する。
- 審査委員が設例について質問をするので、それに口頭で答える(約12分間)。
- 終了したら、待合室に戻って、もう一度、同じ手順を繰り返す。今度は1回目と違う設例になる。
- 2回目の面接が終了したら解散。(設例ペーパーは回収されたと記憶しています。)
面接(口頭試問)の状況
上記の手順4と6について、すこし捕捉します。
4の15分間では、設例を読んで、(ア)問題点の把握、(イ)問題解決策の検討分析を行うことになります。
気づいたことを余白にメモしていきます。
緊張して、頭はテンパっている状態で、時間も限られています。
その中で、できるだけ落ち着いて、これまで勉強したことを思い出しながら、メモを取っていきます。
6の面接での審査委員は2人で、そのうちの1人から質問を受けました。
私の場合、質問した人は柔和な感じでしたが、もう1人はじっとこちらを凝視するような印象を受けました。
質問に対して、設例ペーパーのメモをときどき見ながら答えていきます。
完璧な答えを審査委員も期待していないと思います。
不完全で当たり前です。
こちらが困ったとき、あるいは勘違いの答えをしたときは、助け舟的な問いかけがあったりしたおかげで、緊張しながらもなんとか面接を終えることができました。
面接で心がけたこと
面接を受けるにあたって、私は、誠実な態度であること、質問者の目を見てはっきりした言葉遣いで答えること、わからないことをわかったふりをしないこと、そいて「黙らない」「しゃべり過ぎない」ことを心がけました。
この試験は、制度の正確な理解と、その具体的な事例への適切な適用の能力を問うものであることはもちろんですが、それとともに、あるいはそれ以上に、FPとしての「対応の仕方」「資質」を見ているのではないかと感じました。
ですから、事前の準備をしておけば、余程のことがない限り合格することができると思います。(ただし、事前の準備が不十分だと不合格になる確率が高くなります。)
2.勉強の方法
金財の実技試験での設例は、おおむね相続・事業承継と不動産の分野から出題されます。
出題される設例の問題点及びその解決策についても、一定のパターンがありますので、試験勉強は何と言っても過去問を繰り返し学習することになります。
いくら合格率80%と言っても、過去問対策抜きでの合格はあり得ないと思います。
私も過去問中心で、勉強期間はおよそ2か月間。
教材は、「FP技能検定 1級実技対策問題集」(きんざい)オンリー。
受験者数が限られているため、教材は少ないです。
試験を実施するところが出している問題集ですから、合格するための必需品です。
この問題集には、上記の試験の手順や元面接官(審査委員)のアドバイス、合格者からのメッセージも掲載されていて、大変参考になりました。
とにかく、この問題集を繰り返し学習すること。
初めて、設例を見たときは誰でも「???」と、どう答えてよいか、さっぱりわからないと思います(私もまったくそうでした)。
しかし、ご心配はご無用、学習が進むにつれて徐々にわかってきます。
重要なことを1つ。
この試験は、マークシートでも記述式でもなく、口述試験ですから、回答の文案を実際に紙に書いてみること、それを音読すること、審査委員に回答するつもりで練習をすることが必要になります。
私は、口述試験(口頭試問方式)が初めてでしたので、最初イメージがなかなか掴めませんでした。
そこで、すこし時間の余裕があるときは、体験者のブログを読んで、情報を集めたものです。
3.結果通知
2018年2月18日に試験を受けて、3月29日付で厚労大臣名の「1級技能検定合格証書」と金財からの合否通知書を受け取りました。
参考までに、私の得点を記載しておきます。
[A]顧客の問題点の把握 27点/40点、
[B]問題解決策の検討分析 39点/60点、
[C]顧客の立場に立った対応 38点/60点、
[D]FP倫理と法令順守 27点/40点 合計131点/200点
合格基準が6割に設定されていますので、かろうじて合格です。
ただ、以前見たブログで、「自分としては、結構できたと思ったが点数が高くなかった」と私と同程度の点数を公表されていた方もいました。
また、今日現在で、この合否通知書の画像をネットにアップされているものの一部を見ますと、135点が最高で、134点、128点、127点、中には121点、120点という例もあり、「おいおい、ギリギリじゃん」と、思わず突っ込みを入れたくなります。
勝手な憶測ですが・・・
ここからは私の勝手な憶測ですが、いくら合格率の低い1級の学科試験やCFP合格者であったとしても、審査委員の経験、知識からすれば、受検者は全くの子どもみたいなものでしょうから、余程優秀な者と「ちょっとこれでは・・・」という者を除いて、「まあ、このレベルなら良しとするか」みたいな、ある種の温情も含めて、合格基準の6割にちょいと色を付ける程度で採点しているのではないかと感じます。
それでも合格は合格ですから、私は素直に「ありがとうございます」とお礼を言いたい気持ちです。
FP倫理と法令順守
上記の合否通知書にある「[D]FP倫理と法令順守」について補足します。
面接試験では、設例との関連を踏まえつつ、PartⅠでは「FPと職業倫理」、PartⅡでは「各種専門家と関連業法」について、面接の最後の方で訊かれるというお約束があります。
前者は、顧客利益の優先、守秘義務の遵守、顧客に対する説明責任、コンプライアンスの徹底、インフォームド・コンセント、能力の啓発について、自分の言葉で述べなければいけません。
後者は、弁護士、税理士、司法書士、土地家屋調査士等の「士業」との関連が問われます。
両者とも、上記の問題集等で事前に準備しておけば大丈夫です。
今日は、1級FP技能士の実技検定試験(金融財政事情研究会実施の口述試験)についてお伝えしました。
◆少し体調を壊したため、久しぶりの投稿になってしまいました。定年後のセカンドライフにとっては「健康・病気」が重要なファクターであることを再認識しました。
◆中村哲先生がアフガニスタンで銃撃を受け亡くなられました。これまでの活動に感謝いたします。本当にご苦労様でした。
今日も拙い文章をお読みいただきありがとうございました。
(2019.12.9)