こんにちは。
今回は、選択式試験(特に労一、社一)について考えてみたいと思います。
1 選択式試験(労一、社一)の実情
1-1 選択式は理不尽な試験
労一、社一の選択式試験は理不尽な試験です。
毎年、1点足りずに不合格になる人が大勢います。
一生懸命に勉強して、択一式試験が満点であったとしても、選択式が1点足りなければ不合格になります。択一式が満点でも!
それが勉強不足というなら、まだしも納得できますが、労一、社一は広い範囲からどこが出題されるかわかりません。
ただでさえ時間が足りないなかで、勉強時間をなんとか確保しようとしているのに、広い範囲を網羅的に勉強することは事実上無理です。
1-2 出題対象範囲が広すぎる
労一(労働管理その他の労働に関する一般常識)と社一(社会保険に関する一般常識)は多くの法令のほか、労一では白書、各種統計、社一では社会保険制度の沿革まで含まれます。
とにかく出題対象の範囲が広すぎます。
これをまじめに、出題にきちんと正答できるように勉強するのは、あまりに効率が悪すぎます。
1-3 不運か事故か
本試験の労一、社一で自分が知らないことが出題されても、それは「運」が悪かったとしか言いようがありません。あるいは「事故」と言ってもよいかもしれません。
1年間勉強してきて、自分の努力とはほとんど関係ない「不運」とか「事故」で不合格になってしまうことが大いにあり得るというのが、今の選択式試験の実情ではないでしょうか。
努力が報われない場合が多すぎるのではないでしょうか。
1点不足で不合格になった人は、翌年の受験のためにさらに多くの時間と経費と精神的、肉体的エネルギーを注ぐことになります。
1点差不合格のために、再度受験する意欲を消失してしまう人もいるかもしれません。
それは、社労士関連「事業の健全な発達と労働者等の福祉の向上に資すること」(社労士法第1条)にとって力となり得る優秀な人材を失ってしまうことになりかねません。
1-4 労一、社一を勉強する時間はない
資格学校からは、「一般常識は広く浅く学習するように」指導されますが、主要8教科の学習が中心にならざるを得ませんから、一般常識について広く浅く学習できればいい方だと思います。
受験者の中には、試験当日までに一般常識についてはほとんど学習する時間がなかったという人も多くいるのではないでしょうか。
1-5 せめて基本事項を出題せよ
私は、最後の2か月間、仕事を辞めて勉強に専念できる環境でしたので、一般常識について、クレアールのカリキュラムに従って、「広く浅く」勉強しましたが、それで本試験の時に対応できるよう記憶の定着を図れたかといえば、まったく不十分であったと言わざるを得ません。
まあ、それでもそれぞれの法制度等の基本的事項について問われるのであれば、「広く浅く」戦術が通じる可能性もありますが、必ずしもそうではない細かいことを問われては答えられるわけがありません。
2 選択式試験はどうしてあるのか?
労一、社一の選択式の意味はどこにあるのでしょうか。
そもそも選択式試験そのものは、何のためにあるのでしょうか。
択一試験だけではいけないのでしょうか。
努力と結果が直結するような試験制度が望ましいのではないでしょうか。
極端な言い方をすれば、努力の積み重ねを不意打ちや闇討ちで無に帰すこと以外に、選択式試験の意味がどこにあるのか、私には分かりません。
3 試験制度の見直しを
一生懸命に勉強して、択一式試験が満点であったとしても、選択式が1点足りなければ不合格になるような理不尽な試験制度は、努力が結果として報われる方向に見直すべきではないでしょうか。
<私の見直し案>
① 選択式を止めて択一式試験だけにする。(あるいは、労一、社一の選択式を廃止する。)
② 選択式を継続するなら、不意打ち問題は止めて、基本的事項の中から出題するようにする。
③ 現在の科目別得点状況に加えて、問題別正答率も公表する。あまりに正答率が低い問題(不意打ち問題)は出題しないように次年度以降の参考資料とする。
④ 選択式と択一式の得点をリンクさせて合否を決める。選択式が1点足りない場合でも択一式が高得点であれば合格とする。
⑤ 合格基準のうち、選択式の科目最低点を、択一式(10点満点に対して最低点4点)の割合に合わせて、最初から3点ではなく2点にする。
今回は、選択式試験(特に、労一、社一)について考えてみました。
今日も、拙い文章をお読みいただきありがとうございました。
(2019.11.22)(2020.06.17 一部修正)