こんにちは。
保険は、まず大きく①生命保険(第1分野)、②損害保険(第2分野)、③医療・介護・傷害保険(第3分野)に分けられますが、今回は、生命保険の種類について確認します。
1.生命保険の分類
生命保険は、「どのような場合に保険金が支払われるのか」によって、「死亡保険」「生存保険」「生死混合保険」の3つに分類されることがあります。
「死亡保険」は、死亡または高度障害状態になった場合に支払われる保険で、定期保険、終身保険などの種類の保険が該当します。
「生存保険」は、将来のある時点で生存していた場合に支払われる保険ですが、実際は、「生死混合保険」の形になっています。
「生死混合保険」は、両者を組み合わせた保険で、養老保険、個人年金保険などが該当します。
2.生命保険の種類
ここでは、基本的な種類である「定期保険」「終身保険」「養老保険」の概要について確認したいと思います。
(a) 定期保険
10年、20年など保険期間を定めて、死亡または高度障害状態となった場合にのみ保険金が受け取れます。
生命保険の最も基本的な形です。
いわゆる「かけ捨て」保険で、満期保険金なし、解約返戻金もほとんどなし。
そのため、保険料は安くなっています。
しかし、例えば10年後に更新する場合は、更新時の年齢で計算されますので、当初の保険料より高くなります。
◇手数料(経費)
保険料には保険会社の手数料(経費)が含まれ、その手数料が会社によって異なっているようです。
「手数料は極めて高い(定期保険では3割~6割)」(岩瀬大輔著「保険のカラクリ」文春新書 P.194)。
後田亨著「保険のウラ側」(朝日新書 P.89~90)には、定期保険の保険料の内訳について、ライフネット生命と大手生命保険会社の比較がしてあります。
それによりますと、ライフネット生命では、保険料4万円のうち1万円が諸経費ですが、大手生保会社の場合は、保険料が8万円に倍額となって、そのうち5万円が諸経費だそうです。
この違いの大きさには驚きます。
※なお、ライフネット生命は、はじめて保険の原価を公表した会社で、これまで何度も引用してきました「保険のカラクリ」の著者の岩瀬大輔さんは、このライフネット生命の共同創業者です。
(b) 終身保険
定期保険が10年、20年という保険期間が決まっているのに対し、終身保険はその名の通り、一生涯の死亡・高度障害が保障対象です。
対象期間が長いので保険料は高くなります。
保険料の払込は、例えば60歳までと設定する有期払込と終身払込があります。
本来は、死亡率が低く、したがって保険料が安いはずの若いうちに将来の保険料分を積み立てていく形になっていますので、「保障」と「貯蓄」を兼ねた保険と言えます。
終身ですので、満期保険金はありませんが、途中解約しますと加入期間に応じた解約返戻金を受け取ることができます。
有期払込の場合、払込終了の際に、そのまま死亡・高度障害保障の継続、年金の受け取り、介護保障への移行などを選択できる場合もあります。
(c) 養老保険
保険期間は、例えば30歳時から60歳時までの30年間などの有期で、その期間中に死亡または高度障害状態になれば、死亡・高度障害保険金が支払われ、無事に60歳の満期を迎えれば満期保険金を受け取ることができます。
また、途中解約の際には解約返戻金を受け取ることができます。
養老保険も「死亡保障」と「貯蓄」を併せ持った商品です。
(d) その他の種類
以上の3つの保険を基本として、さまざまなバリエーションの保険があります。
- 「定期保険特約付終身保険」、「定期保険特約付養老保険」…それぞれを主契約として、特約として定期保険を上乗せした保険
- 「自由設計型保険」…保障内容を自在にして、必要に応じて、保険料をそのままにして契約の内容を見直していくことができる保険
- 「収入保障保険」…死亡保険金を一時金ではなく年金形式で受け取る保険
- 「こども保険(学資保険)」…子どもの教育資金の準備を目的とした保険。満期保険金のほか、小・中・高・大学の各入学時に祝い金を受け取るタイプなど。契約者である親が死亡した場合は、以後の保険料の払込は免除になり、その後の祝い金は受け取ることができる。
- 変額保険…加入後の運用状況に応じて保険金額が変動する保険。満期のある「有期型」と満期のない「終身型」があります。
3.個人年金保険
個人年金保険は、年金の支払い方法によって、終身年金、確定年金、有期年金等に分けられます。
保険料払込期間中の死亡に対しては、死亡時の年金原資相当額が死亡給付金として支払われます。
(a) 終身年金
生存している限り、年金を受け取ることができますが、死亡とともに年金は支払われなくなります。
実際は、10年、15年などの保証期間が付いた「保証期間付終身年金」がほとんどです。
保証期間の間に死亡したときは、残りの期間分の年金を相続人が受け取ることができます。
保険料は、確定年金、有期年金より高額になります。
(b) 確定年金
契約時に決められた期間(5年、10年、15年など)、被保険者の生死にかかわらず年金が支払われます。
(c) 有期年金
あらかじめ決められた期間、被保険者の生存を条件に年金が支払われ、死亡すると年金は支払われなくなります。
保証期間の付いた有期年金もあります。
(d) その他の個人年金
夫婦のいずれかが生存している限り年金が支払われる「夫婦年金」、市場金利に応じて予定利率が変動する「利率変動型年金」、「外貨建て個人年金」などがあります。
今回は、生命保険の主な種類について確認しました。
実際の保険商品は、生命保険の機能に医療保障が付いていたり、大変複雑になっています。
その複雑さに困惑して、つい営業職員の言うがまま加入してしまいがちですが、保険の機能を整理して、必要かどうか、自分で検討することが重要です。
なにせ、商品によっては、住宅に次いで、人生に2番目に大きい買い物になってしまうかもしれませんから。
「必要かどうか」は、どのようなリスクに備えるものか、検討しましょう。
次回は、損害保険と第3分野保険について、整理したいと思います。
今日も、拙い文章をお読みいただきありがとうございました。
(2020.03.24)